liquid universe

「Je veux dormir pour toujours.」

10

怖い話をしようかな、と思う。
いやいや、ホラーじゃなくて。

すんごく長くなる予感。纏まらないのはいつものことだけど。
過去を昇華または消化する為に吐き出そうと思う。
私の昔を知っている人は、気分悪くするかもしれない。
もしかしたらもう二度と関わりたくなくなるかもしれない。
結果そうなっても、そうじゃなくても、罪は一生続くものだとわかっている。
もし話中の人物が判っても、特定も追求もいらないからね。
そもそも自分自身も、個として特定されるの微妙なキモチになるし。
あくまで自分本位、自分視点の感情論しか書かないから、
誰かを傷つけるつもりも、反省を促すつもりも、憐れみを乞うつもりも、無いことはどうぞわかって。
ただもう一度、自分の記憶と感情に向き合って、思いを整理したいだけ。

私はよく夢を見る。
というか、今まで、夢を見ることなく眠っていたことなんてあっただろうか、と思うくらい
ほぼ毎日見る。そして内容をわりと覚えている。
3%くらいは面白い、笑える夢かもしれない。記憶に残るのはほとんどマイナスイメージだ。

子供の頃から繰り返し見て来ているものもあるし、最近の様々な情報を継ぎ接ぎしたようなものもある。
そして、時々、ただの経験をリピートするだけの夢を見る。

私はAの言った言葉のいくつかを忘れない。(仮にAとする)
もう何年も前のことだけれど、それは時々、夢や日常の一瞬に思い出されて、私を動けなくする。
人との出逢いというのは本当に不思議なもので、初対面が最悪の印象だったとしても、後に一生モノの付き合いになったり、
最初は穏やかに始まった関係でも、時が経つと壮絶な御終いを迎えたりする。
私にとってのAはまさに後者のそれで、(Aはそう思ってはないかもしれないが)願わくば、もう一生関わりたくもないのである。
思い出したくもない、と思っているはずなのに、もう本名すら忘れかかっているのに、その出来事たちだけが、いつまでもどこか頭の隅にあり、
無意識に箱を開け、私自身の後悔と懺悔と虚無感を呼ぶ。
私の罪とは。ルールを破ったことだ。そして簡単に人を信じたこと。依存心。自己中心的。そして自分も他人も守れないこと。自分のカラダがさして大切ではないこと。
今でさえわからない。わからないまま生きている。だって、わからなくても息はできるから。
それは恋とか愛とかではない、ただの興味と好意だ。
でも当時の私はそれら以外の感情の選別を知らないから、それが正しいと思っていたのかもしれない。自分の感情のままに動くことが、単に”素直”だとして、自由が誰かを傷つけるなんて、思いもしなかったのかもしれない。
Aも私も、好きだと口にした。それがもはやミスだったんだと思う。
私は欲張りで、好きなものどれも手に入れたくて、何かを失うことがとにかく怖かった。
本当は、恋人を、大切にしていれば、それでよかったのかもしれない。でも違った。
居場所も欲しかったし、それは恋人や家族に与えてもらうものではなく、ある意味赤の他人から始まる繋がりが愛おしくなること、だった。
何かを作り上げていく道程の途中に、うっかり出逢った“事故”みたいなものだと、後に当時の恋人は言った。
(このことで、随分と傷ついただろうに、私の方を傷ついた人間として扱ってくれたのだ。有り難く、哀しかった。)
(私は未だこの“事故現場”を夢に見るよ、と言ったら、恋人はどう思うだろうか。んー...泣くかもしれないな。)
とにかく、初めは面白いおもちゃを手に入れた子供のように浮かれてるから愉しく、裏切りなんて毛頭思考の中になく、悪意なんてさらさらなかった。
でも、飽きっぽい私は、子供の私は、子供だからとても残酷で、すんなり自分の隠された悪意に気づいてしまう。
でも“事故”に、子供のわがままは通用しなかったのだ。
今でも思う、Aの思考の方がピュアだったんだと。血の繋がりでもない、いつだってバラバラになるその関係性に、何の価値があるのかと、素朴な疑問だったろうと思う。私は自分の熱情の理由をうまく説明なんてできない。
何のイヤミも無しに(そういうポーカーフェイスでも)、私が不愉快になることを平然と口にした。
なんで恋人が居ると皆に公表しないの?なんで女の子同士仲良しだなんて嘘つくの?君が得意な詩を見せてよ。
言う通りにしないと全てバラすよ。認知するから大丈夫。君の友達との仲を取り持ってよ。友達にはバラしてるから逃げられないよ。

吐きそう。

逆に聞くけどなんで恋人や家族などプライベートを皆に公開せなならんわけ?たとえ暗黙の了解がなくても、他人の領域に土足で入り込んでくる行為は一体なんなの?女の子同士が仲良くして、あなたになんか損させてますか?私は見ての通り難解だから、性別関係なく自分と仲良くしてくれる人間は尊いと思ってるし、仲良しだと言ってくれたら嬉しいから嬉しいと言ってただけだよ、当事者でもない奴がなんで嘘って決め付けるの?得意とか特技とか言ってないし趣味なだけだし、品評されるの嫌だし。もうどういう意図で言ってたのかわからない。執着されたり束縛されたりが一番嫌、と言いながら、自分は寂しいだの会いたいだの言う。会ってくれなかったら全てをバラすって、それによって私が大切な場所や大切なものを失ってもかまわないって、実はそこまで重要なものじゃないでしょ、今のちやほやがそんなに大事なの?って。それは私自身が招く最悪の結果だ、悪いのは私だってわかってるけど、当時の唯一の居場所だ、大事な関係性だ、それをこんなに軽んじてる人に壊されるって、意味わかんない。あと、移り気なんだから避妊ぐらいちゃんとしろよ。なぁにが大丈夫だ。こっちは自分の身体なんてどうなってもいいけど、それで満たされるのが世界でも平和でもなくそっちの欲のみってのが本当に馬鹿みたい。そういうことしに来たんじゃない、と私が言ったとき、その手はどこにあって、なんて言ったか覚えてる?話なんてできる間柄じゃなかったんだねそもそも。その上、他の子を狙うのを私に頼むとか、私だけの暗黒でよかったのに、無駄に彼女を傷つけた。人生に必要のない秘密を押し付けて。こんな混沌とした気持ちを与えた人に、大切な友達を委ねるわけないでしょ。私を慕ってくれていた“尊い”彼女だから、そんな奴に引っかかるわけないけど。面倒な時間割かせてごめんね。本当に、それは今でも、申し訳ないと思ってる。私のせいで、人生に要らぬ思考を与えてしまった。ごめんね。

とにかくその期間は消去したいものだった。次第に思い出は美しく、なんていうけど、一向に美しくなる気配がない。
ベクトルが向き合った時のときめきも、読んだ名前も忘れて、言葉を失い、顔を歪め、動悸を速めた場面場面が未だこの脳に張り付いている。
一番最初に、不愉快だ、と感じたとき、冷や汗と鳥肌が出た。いじめっ子に会ったような感覚だった。
明るいトーンで、悪意を滲ませず、単純な疑問として投げかけられた言葉が、胸を突き刺した。
その時の目がなんとも言えないくらい凄かった、とのちにAは笑いながら言った。
違う、私がそうしたんじゃない、そんな目をさせたのは、間違いなくあなただ。とすぐには言えず、作り笑いした。
私の身体を大切にしようと行動する人が、実は好きなんだと、最近気がついたんだ。私が自分をあまり大切にできていないから。
当時Aに対しては、ああ、私と同じくらい私の身体のこと大切に扱わないんだな、と思っていた。別に、その程度の価値のものなんだと。
けれども、触れられた日は、家でずっと身体を洗っていた。それは何回目とか関係なく、ほぼ衝動だった。
認知がどうのという話が出た日は特に念入りだったと思う。泣きながらお風呂に入って出てくると、恋人がタオルを持って立っていた記憶がある。
私はもうスレたようになっていて、愛の名のもとに何をしようと勝手だし、できてしまうんだ人間は、だったら愛の名のもとじゃなかろうと、何だってやっちまう奴はやっちまうんだ、なんて夜中に叫んでしまうぐらいの精神状態だった。

距離を置いて少し後、何度かAからアクションがあった。
ああ、相変わらず、悪意も、後悔も、反省も、無いんだなあと、思った。
まあそりゃそうだよね。自分は悪いことなんてしてないと思ってるだろうから。
実際、Aも私も自分のその時の気持ちに正直に行動しただけ。Aは純粋に終始それを貫いただけ。
恋心も興味本位もナルシズムも、何の罪にも問われない。
私は、今後一切関わりたくない、と思った。今の正直、がそれなんだ、理由なんてない。
謝罪も好意も皮肉も侮蔑も、何にもいらない。無関心が欲しい。
自分自身においては、記憶を抹消したい。何もなかったように生きたい。不可能だってわかってるけど。

直後はその一挙手一投足に怯えるような日々だった。
友達がいう風な“会いたい”も私にはバンジージャンプの直前のような心地に思えて、リアルに手が震えた。
例えこの先、同じものに興味を持ち、他の人とは共通の話題にできなくても、これ幸いと愉しく語り合うことはないだろう。
たまたま会うことがあっても、私はスルーする。人生に、必要がないと判断する。
生活環境も変化し、心境や記憶領域、感覚も少しずつ変わって、だんだん忘れられるようになってきた。
もう名前も思い出せないのだ、その内、場面の記憶も薄らいでいくとは思う。

まだ、唐突に夢の中に現れたり、日常のふとした場面に思い出す。
似た顔の人がテレビに映ると寒気がする。姿形や声色、笑い方が似ている人を見かけると、緊張する。
思い出したくないシチュエーションで思い出したくないシーンを思い出すと集中力が一気になくなる。
恋人にも友達にも、申し訳ない気持ちになってたまらなくなる時がある。
胸が苦しくなる。息ができなくなる。

私はこの苦しみから解放されたいと思うことは、ワガママ・贅沢を言っているのだということはわかっている。
特に、私のことを裏切り者だと思っている人から見れば、自業自得、当然の因果応報だと、耐えろと思うかもしれない。
わかっています。
謝罪も反省も、不毛になっていくこと。そんなこと誰も要求しないこと。嘲笑うほどの価値もないこと。
だから、無関心でいるのが一番の優しさだと、それも勝手に解釈している。
もう今更、誰かを改めて傷つけたり、引き合いに出して晒したり、過去を蔑んで未来を貶めたり、
そんなことをするつもりは全くない。
ただ、私は私のこと、私の鬱憤を、
自分を刺し殺したり、誰かを打ちのめすことではなく、
文字として吐き出すことで、記憶だけれど物語だとしてしまうことで、ただの言葉の羅列だと認識してもらうことで
晴らそうという魂胆なのだ。

それだけのことがこんな長文になってしまって、申し訳ない。

少し、色褪せた、かもしれない。
真っ黒に見えた気持ちが、多少色落ちして、薄くなったかもしれない。
薄汚れた水を流しても、改めてみればまだまだ黒いままか...とも思うけれど、
ここに書いて、とりあえずはよかった。

必要を感じれば、消すかもしれないが、
ひとまずこういう在り方にしとく。

もし!最後まで読んだ方、おられたら、
疲れたでしょう。最初のアテンションも弱くて、ごめんなさいね。
ありがとう。話きいてくれて。忘れていいのよ。
むしろ忘れてください。頼むから。こんなの、人生のなんの得にもならない。
これに関しては苦情は受け付けません。どなたからのものでも。
だって、あくまで自分本位って、物語って言ったでしょう。
そういうことよ。もうおやすみ。